「幸せになる住まい」の匠 石ヶ谷英明(一級建築士)です
「床の強度」について
耐震上、役に立つ「働く壁(耐力壁)」によって「壁の強度」を考えていますが、
そのことと、合わせて考えたいのが「床の強度」です。
100kgを持ち上げられる人がいても、その足元の床が、50kgで
ぐらぐらでは100kgの力を発揮できませんよね。
いくら強い「耐力壁」をバランスよく配置して地震力を受けようとしても
床が弱いと十分に力を伝えて逃がすことができないのです。
では、どのようにして床を強くすればいいのでしょうか。
専門的にいえば、「水平構面」をつくる梁などの構造材に直接、
合板を釘により止め付けるようにし、できれば接着剤で固定するともっと強くなります。
「水平構面」というのは箱の上蓋みたいなものです。
段ボールの箱を思い出してみてください。
箱の蓋が開いたままだと少しの力で、箱は変形したりつぶれたりしてしまいます。
上蓋は、構造上たいへん重要なもので、一般的に家の構造を安定させるには、
家の垂直面である壁だけでなく、水平面にもしっかりした梁や桁などの構造材が必要になります。
建築基準法では、壁は壁倍率で強さを規定していますが、床には床倍率のような規定がありません。
ですから、「床の強度」はある意味、住宅会社の裁量で自由に施工できるのが現状です。

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